がまんの持続

持続可能なこころ vol.4

 いつも陽キャの女子Aさんは、「いつも陽キャ」でありたいのに、暗い気分が津波のように襲ってきて「いつも」が持続できません。なぜでしょう。なぜAさんらしい陽キャを持続することができなくなってしまったのでしょうか。

 「持続」とは何かを考えることが、この疑問に答えることにつながります。持続には2つのタイプがあります。今回はそのうちの1つ目、「がまんの持続」をご紹介しましょう。がまんの持続は、その名の通り、がまんすることである状態を一定に維持しようとする心の取り組みです。

 休みたい気持ちをがまんして仕事に勤しむことで業務や人間関係の安定的でスムーズな状況を一定に維持しようとする、ゲームをしたい気持ちをがまんして宿題や課題を頑張ることで成績の安定や向上を一定に維持しようとする、疲れたからそろそろ終わりたいという気持ちをがまんして部活動の練習に打ち込むことで体力やチームワークの安定や技術の向上を一定に維持しようとする、たくさん食べたい気持ちをがまんしてダイエットを頑張ることで体重の安定や減少を一定に維持しようとする・・・こうした心の取り組みは多くの人が多かれ少なかれ実際に経験したことがあるのではないでしょうか。これが、がまんの持続です。

 Aさんが必死で取り組んでいたのも、がまんの持続です。苦しくてつらくて落ち込みそうになったり泣きたい気持ちになったりするのをがまんして笑顔や元気や積極性を周囲に見せることでいつも陽キャな自分を維持しようと懸命でした。がまんの持続というのは、わたしたちにとってとても大切なもので、がまんの持続によって人は成長したり、目標を達成したりできます。逃げたい気持ちや面倒くさいと感じる思いばかりに従っていては、自分が目指すべき学力や勝利や体型や人間関係を維持、向上することができなくなってしまいます。がまんは、心の持続可能性にとって、とても大切な心の取り組みです。

 しかし、このがまんの持続が、Aさんの場合、うまくいっていないようです。必死でがまんして状態を安定させようとしても、わけのわからない気分の落ち込みによって、持続不能な状態に陥ってしまっているのですから。がまんはとても大切な取り組みなのに、どうしてうまくいかなくなってしまうことがあるのでしょうか。がまんが十分ではないからなのでしょうか。少なくともAさんはそう思っているようです。だからもっとがまんしようと努力します。でもがまんすればするほど、気分の津波が大きくなってしまいます。どうしてなのでしょうか。もう1つの持続、「揺らぎの持続」が、この「がまんの持続」がうまくいかない理由を説明するでしょう。

(次回に続く)

畠山正文

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