持続可能なこころ vol.3
いつも陽キャの高校生の女子Aさんは、クラスで人気者です。リーダー的な存在で先生からもクラスメイトからも一目置かれていて、成績も優秀です。ところが、ある些細な人間関係のトラブルをきっかけに気分が落ち込む時期がありました。周りの人は別人のように元気がなくイライラしがちなAさんを見て戸惑います。しかし2~3日したらすぐにまたいつもの元気なAさんに戻りました。どうやら人間関係のトラブルは解決したようでうまく仲直りができました。それ以降は、行事の度にクラスを盛り上げたり、成績がどんどん上がったり、Aさんの活躍は前にも増してさらに素晴らしく目を見張るものがありました。ところが、それから1か月くらいすると、またもや突然元気がなく暗い表情のAさんがいました。誰から見ても明らかなほどで、周りの人が話しかけづらい雰囲気を漂わせています。しかも今度はなかなか回復せずその状態が2週間くらい続いています。前回のような人間関係のトラブルなど今回は何もありません。
Aさんはなぜ突然元気がなくなってしまったのでしょうか。ケンカやいざこざなどの人間関係のトラブルがあるときにはまだ元気がなくなったり、落ち込んでしまったりするのは理解できますが、その後のAさんの落ち込みは理由がよくわかりません。周囲も本人も理由もわからず元気がなくなってしまうので、とても苦しくて困った状態になってしまっています。
ここで考えるべき大切なポイントは、Aさんの特徴や傾向を表現する「いつも陽キャ」というときの「いつも」です。Aさんにとっての「いつも」は、文字通りの「いつも=いつでも、どんなときでも」でした。クラスでも、部活でも、塾でも、家でも、休みの日に友だちと遊びに行くときも、いつでも陽キャのAさん。ところが、ある人間関係のトラブルをきっかけに、その「いつも」が崩れてしまいます。そしてそれから2〜3日後のAさんは、またあの「いつも」を取り戻そうと、さらなる陽キャや頑張りを演出します。ところが、この演出は持続せず、まるでAさんの目指すあの陽キャの「いつも」を破壊するかのような暗い暗い気分の津波のようなものがAさんに襲いかかり、その濁流から逃れられません。「いつも」を目指しているのに、どうしてこんな津波が襲いかかってくるのでしょう。Aさんは「いつも」陽キャでありたいという持続可能な心を目指しているのに、なぜ暗い気分の津波に襲われて持続不能な状態になってしまうのでしょうか。
(次回に続く)
畠山正文
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