メンタルの強さ?

持続可能なこころ vol.2

 「メンタルが強い人」という言葉を聞いてどのような人を思い浮かべるでしょうか。いわゆる“陽キャ”でいつもたくさんの友だちと楽しそうにしている人?それとも、どんなに大きな障害があってもへこたれず常に前向きに物事に取り組める人?はたまた、自分がどんな苦しさや痛みを抱えていても絶えず誰かに思いやりややさしさを注げる人?他にもいろいろあるかもしれません。

 さて、「メンタルの強さ」をわたしたちがイメージするときに共通していることがあります。それは、先ほどの例で言えば、「いつもたくさんの友だちと…」「常に前向き…」「絶えず誰かに思いやり…」という表現の中の太字で強調した部分、「いつも」「常に」「絶えず」というところ。ここに共通する点があります。つまり、わたしたちが「メンタルの強さ」をイメージするとき、「いつも」「常に」「絶えず」というふうに長い時間ポジティブな状態が一定であることを無意識に前提しているという点に注目したいと思います。

 この「長い時間ポジティブな状態が一定であること」というのは、まさに持続性の問題です。わたしたちは、「メンタルが強い人」をイメージするとき、持続可能な心の状態を長い時間ポジティブに維持できている人を何気なくイメージしているということです。

 しかし、ここで新たな疑問が湧いてきます。ひとつ目の疑問は、「長い時間ってどのくらい?」ということ。「いつも」「常に」というのはどのくらいの長さなのでしょう?永遠に?一生?それとも、「人前では」とか「職場の中では」とか「クラスの友だちの前では」などと条件がつくくらい?

 もうひとつの疑問は、「ポジティブな状態ってどういう状態?」ということ。先ほどの例をとっても、人によってポジティブな状態のイメージは異なります。陽キャであることがポジティブに感じる人もいれば、むしろ陰キャであることに誇りを感じる人だっているでしょう。また、前向きがポジティブな人もいれば、前向きがネガティブに映る人もいます。思いやりややさしさだって、時と場合を選ばなければ、ポジティブな場合ばかりではなく、おせっかいやありがた迷惑につながることだってあるでしょう。 持続可能な心を考えていく上で、このふたつの疑問はとても大切です。なぜなら、このふたつの点をめぐって、多くの場合、持続可能な心の状態、つまり「メンタルの強さ」を実際に維持できるのか、できないのかが決まってしまうからです。

(次回に続く)

畠山正文

コメント

タイトルとURLをコピーしました